一途愛
「大丈夫?」

美里たちがいなくなった更衣室でさっきボールをくれた
おたく系グループの子が
近づいてきた。


「悔しくて…今日は負けたくなかったの。」

思わず本音がポロリ。

「すごかったよ大関さん ね?
私スッキリしたもの。」

「私も~~。いつもひどいって言ってたんだよ。
だけど勇気なくて…見てるだけで…ごめんね。
今日ニッコリ笑ってくれて なんだか嬉しかった。」


「なんか…なんか私も…すっごく嬉しい…。」

急に涙が出てきた。

「でも私たちもひどいんだよね。
大関さんのようになりたくないから…影でしか
応援できないんだもん。」

「そんなことないよ。
そう思ってくれてただけでも嬉しい。
あの人たちのまえでは 話かけなくていいから…
こうやっていない時 私から…話かけてもいい?」

「もちろんよ。
今日の大関さん…私たちのヒーローになったの。
負けないで 応援してる人もいるってこと知っていてね。」


勇気を出して微笑みかけたのがきっかけだった。

友達って…けっこう簡単にできたのかもしれない。
私がガード張りすぎてて……
自分から遠ざけていたのかもしれない。


少しづつ私の環境が変わり始めていた。
< 114 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop