一途愛
龍から電話を待ったけど 来なかったから
とりあえず家に向かった。

歩いていると車が停まって

「姫ちゃん。」と声をかけられた。

「おねえさん。」伊織さんが顔を出した。

「龍のとこ行くんなら乗せて行くわよ。」

私はお礼を言って助手席に乗り込んだ。


「おかしなやつが来てるんだって。」

おかしなやつって・・・

「ミチルさんのことですか?」

「その名前もいいたくないけどね。
ばあちゃんからヘルプされて 仕方ないあの
図々しい顔見に行くことになったのよ。
で 姫ちゃんは?龍に呼ばれたの?」

「いえ 朝 ミチルさんから電話が来て…。」

「まったくね・・・。
なんでばあちゃんも あいつ野放しにしてんだか。
なんだかんだ言っても 息子が可愛いのね。
家のママがどんなに苦しんだか知ってるくせして。
頭に来るのよね。その他はいい祖父母なんだけど
ミチルには甘いっていうか 野放しで気を使うって言うか。」

「なんか・・・龍とは小学校も一緒だったって。」

「そうなのよ。知らなかったけどね。
図々しいったらありゃしないわ。
私も龍も 親父が大嫌い 軽蔑しかないわ。
ママや私たちを裏切って…絶対許せない。」

伊織さんの冷たい横顔は龍に そっくりだった。

いろいろ難しいことがあって大変だなって思った。

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