一途愛
でも暗雲はすぐに牙を向けた。

おじいちゃんが悪いらしく 龍は欠席した。

携帯もつながらなかった。
その夜 おじいちゃんは容態が急変して 帰らぬ人となった。

龍から夜中 電話が来た。

「ごめん 夜中に。」

「おじいちゃんどうなの?」

「今 逝ったよ……。」

嫌な予感が走った。

「そうなんだ。おじいちゃん可哀そうだったね。」

「姫・・・・。」

「ん?」

「俺さ じいちゃんに何もできなかっただろ。
こんなに突然逝くなんて思ってなくてさ。
ばあちゃんを…会社を頼むって……言われた。」

「うん。」

「だから先生にはなれない……。」

「え?」

少し間が開いて 龍が


「ごめん 姫……。せっかく応援してくれたのに。」

「あ・・・・うん。仕方ないよ。
状況が変わったんだから。」

「会社にはたくさんの人の生活がかかってるから…
親父を支えてくれって……じいちゃん何回も何回も
しゃべるのも大変なのに……俺に言うんだ。」

「うん。」

「かあさんのとき後悔した。
安心すらさせてやれなかった。だからじいちゃんには
俺が会社を守るからって約束したんだ。」

「うん……。」

「だから…俺…俺…留学することにした。」

頭を殴られて気分だった。
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