一途愛
「少し一人にするけど大丈夫か?」

「うん でもまだ頭の中が混乱してて……
すぐに会えるよね?ちゃんと顔見て話したい。」

「それはそうだよ。
俺だってそう思ってるから。
社葬終わってからでもゆっくり話そう。」

「うん。」

気丈に振る舞ってたけど 電話を切ったら泣けてきた。
しばらく一緒にいられないんだ

そう思うだけで私の毎日に穴が開いた。
でも

龍を信じてるから……支えてあげたいから
私は強くならないと……。

ウトウトしては目が覚めて 朝の光がさしこんできた。


もう眠れなくなった私は
横で眠っているルナタに毛布をかけて
階段を降りてきた。


「ママ あの会社の会長さん亡くなったんだって。
ずいぶん お世話になったんだ ここの会社には。」

パパが新聞を見て言った。

「宗方・・・・・あれ 龍くんじゃないよな。」

パパとママが新聞を覗き込んでいる後から

「龍のおじいちゃんなの。」

「え・・・・? 龍くんって御曹司か!?
次期 社長か。ここパパの会社とも取引あって
けっこう重要なところなんだ。」

「そうなの?」

「うちからも何か出さないとな。」


そんなに大きな会社なんだ。
私には 関係ないけれど・・・・・。


嫌な予感は 私の心を暗く重くした。
たとえば 龍が将来の夢をあきらめても
もしも留学しても…二人が愛し合ってたらいつかまた
きっと一緒になれる。

だけど…だけど
あの父親の顔がちらついて離れなかった。
< 252 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop