一途愛
「ただいま~~。」

パパがめずらしく酔っていた。

「あら パパ 今日は接待って聞いてたけど
ずい分上機嫌ね~~。」

ママがいつものようにパパのスーツを
ハンガーにかけている。

「姫 姫!!!」

「何?お酒くさい。」

「ありがと ありがとな。」
パパが私に抱きつこうとしたから

「やめてよ。」と一喝した。

「パパ 酔ってるのね。
どうしたの?」

「それがさ 今 ちょうど大きな取引を担当してて
そこの接待の席になんと 龍くんのおとうさんが来たんだよ。」

「龍の?」

「でさ ほらおまえのこと話して挨拶したら
娘さんには会ったことありますよ。って感じがいいんだ。
それでなんだかんだ話ていたら うちの今回の
取引の間に入ってくれるって言うんだよ。
社長だろ?そんなこと簡単だろ?
いや~~~なんか棚からぼたもちってこういうことだな。」

「パパ 龍のおとうさんは危険だよ、
やめて すぐにやめて。」

「龍くんのだよ?姫 なんてこと言うんだ。
すごくいいおとうさんだよ。
龍くんのこと本当に大切に思ってるし
姫のことも活発ではっきりしていて気持ちのいい娘さんと
褒めてくれてたよ。
あ~~よかった~~この取引が成功したら
万々歳 俺も出世期待できそうだ~~。」

「パパ やめてって本当にやめてよ。」


イヤな予感が私を襲う。
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