一途愛
夜 ママに起こされて下に降りた。

「ご苦労さま。」二人がいつものように
笑っている。

「うん。今日はよくしてくれた患者さんが
亡くなって…初めての経験をしたよ。」

話すだけで涙が溢れる。

それを見ていた二人も泣きだす。
私は両親に愛されてるんだなってつくづく思う。


気を取り直して おかずを口にした。

「姫 最近また痩せたぞ。
たくさん食べろ。」

「わざとに食べないんだって。
ダイエット ダイエット~~~。」

「そうなのか?」パパはふにおちない顔をしてる。

しばらくしてパパが

「そう言えば 龍くんが……。」言いかけたら
テーブルの下でママがパパの足を蹴った。

「あ・・・いて・・・・。」

ハッとしたようにパパが言葉をやめたから

「いいよ。今日会ったもん。
知り合いの見舞に来たって偶然。」

「あ そうなんだ~~~。いやいや~~。」

龍と別れたって両親は思っている。
私も多くは語らなかったし・・・・・

「龍がどうかした?」

なるべく平静に 平静に・・・・。
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