一途愛
「ビックリした。スーツで来るのかと思った。」

「今日は俺でいたいから…。」
胸がドキンとした。

髪の毛はサラサラと額にかかっていて
別人のようだった。

「髪伸びたんだね。」

「うん 人生初の ロン毛だよ。
普段は固めてるからさ。」

「違う人みたい。」

「今日は違う人になりたかった・・・・。」

体に心臓がたくさんあるみたいに脈打った。

「キレイだな。この間の白衣もめっちゃよかったけど
今日の姫もすごくいい。」


「やだ・・・。恥ずかしいから。」

「会いたかった。」

「私も…会いたかったよ 龍・・・・。」


龍が私の手をつかんだ。


「行こう。」


高校生の頃を思い出した。
背の高い龍の後を 小走りついて行く私

あの頃は幸せだった。
さえぎるものは 何もない・・・・。


二人が目指す先は お互いのぬくもりだけだった。


今日は俺でいたい


その言葉に全部の龍があるそんな気がした。
< 309 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop