一途愛
龍はテーブルに涙を落としていた。

「泣かないで 龍・・・・。
龍が悪いんじゃないよ。
ちゃんと覚悟してきたから……。」

「俺…俺…こんなに…姫を愛してんのに……
何で全てを捨てられないんだろう……。
情けない男だな。」


もう抑えられなかった。
私は小さく見える龍を抱きしめる。

「龍が悪いんじゃないよ。
うちらの運命が…悲しいけど進む道が違うだけ…。
龍の抱えてるものが大きいのはわかってるよ。」


「姫…そんな言い方しないで
俺を罵ってくれよ。嫌われて最低だ二度と顔も
見たくないって言ってくれた方があきらめられる。」

「離れてる時間がね 愛を育ててくれてた。
私のそばにはいつも龍がいて 龍のそばには私がいたでしょ?
うちらの愛は最強だったんだよ。」

龍の濡れた頬を両手で挟んだ。

私もこらえきれずに 涙が流れる。

「龍・・・・もう何も言わないで…。
だから…最後に抱いてほしいの。
龍に抱かれたい……そしたら全部忘れる。」

「それはできないよ。
必死にこらえてるんだぞ。
そんなこと言うな。」
龍の声が 低くなった。


「抱いて・・・・。抱いて・・・・。
女からこんな恥ずかしいこと何度も言わせないで。
私にとってはそれが全てなの。
忘れるから……。お願い……。」

龍の唇に触れる。

龍は顔を離して
「俺・・・・本当の俺になっていいか?」

私はうなずいた。
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