一途愛
いつも冷静な龍が 飢えた野獣に変わった。
抑えていたものから龍が解放された一瞬だけの
本当の姿に 私は燃える。

抱えていたものから解放された二人は
素直になって求め合うまま 愛し合う。


「愛してる。こんなに愛してんのに……
こんなに愛してんのに…。」

龍は何度も自分を責めるように叫んでいる。

「わかってるよ。全部わかってるから…。」

そんな龍の頭を抱きしめて 髪の毛をグシャグシャにする。


「姫・・・・ごめんな。ごめんな。」

「辛くないよ だって龍は私のことこんなに愛してくれてる。
それだけでも一人じゃないもの。」

「今 ここで死ねたら・・・
一緒に死ねたら・・・・・。」

私を愛撫する龍のスピードが加速していく・・・・。


このまま一つになって時が止まればいい・・・・。


龍が出発する時も こうやって愛し合った。
でもあの時は

もしかしたら・・・・そんなかすかな希望が
どこかにあったけど 今日は


最後の愛の儀式なんだ・・・・・。


ここを出る時 私たちは交わうことのない
人生を歩き始めなけれないけない。

そのスタートが今 この時

今だけは 輝いていたい・・・・・。
龍だけの私でいたい・・・・。
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