一途愛
「大関さん。」

夜勤明で帰ろうとしていた時のことだった。

葉月が車いすに座っていた。
できれば会いたくないと思ってたけど・・・・
特別室に病室が変わってホッとしていた。

龍に会うのは辛いから・・・・。

「ひさしぶり……。」足を止める。

「手術の日が決まったから…。」

「よかったね。頑張って。」

「よかったって思う?」葉月の大きな目が私を見透かすように見てる。

「え?」

「死ねばいいのにって思ってるでしょ?」

「そんな…そんなこと思わないよ。」

「嘘ばっか。私がいなくなったら龍が
戻ってくるでしょ?コソコソ会ってるんでしょ?
病院出たら 大関さん自由に会えるでしょ?」

少し胸が痛んだ。

「私なんか…死んだ方がいいのに…
生きてたって迷惑かけて 役立たないし…
友達だっていないし…今まで楽しいことなんかなかったし。」

手術前の不安感なのか 心が乱れている。

「龍は信じられるよ。」

「は?」

「龍はちゃんと私に言ったもの。葉月ちゃんのそばにいるって。
だからもうちゃんと終わりにしようって。
最後に一度だけ…龍に会ったよ。」


葉月には 龍のことわかってほしい
私はそう思った。
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