一途愛
「私も嘘はつかないよ。
未練たっぷりあるよ だってこれから先あんなに
素敵な人に出会えるかはわからないし
だけどね 龍だから…龍の選んだ道を
尊重したかった。何て言ったらいいのかな…。
愛だけじゃない 信頼?信頼って言うのかな。
龍は絶対的に応援したい。
だから 私じゃなくて葉月ちゃんを選んだ龍の
背中を押すのが私の最後の役目だと思ったの。
それだけのたくさんの愛を 今までたくさんもらってきて
今の私がある。
こうしてやりがいのある仕事をできる
努力をしてこられたのも龍に恥ずかしくない
自分になりたかったから……。」


「私も龍先生がいないと 頑張れない。
大関さんにはいろんな頑張れるものがたくさんあるけど
私には何もない…私の世界は病院の中と一人ぼっちの
部屋だけだったから…。
龍先生に出会って…私すごく幸せだった。
龍が大関さんのこと好きでも 一緒にいてほしいの。」


「わかってるよ。
だから龍は 葉月ちゃんを選んだんだよ。
私はもう一人でも生きていけるもの。」


「あなたたち バカだね。
お人よし?何なの?ムカつく・・・・。」


葉月がうつむいた。


「優しすぎて…ほんとムカつく…。」

葉月が可愛く見えた。

私は葉月を抱きしめた。

「元気になって…そして今まで知らなかった世界を
たくさん知って。龍と一緒に・・・・・。」

「大関さん…バカだよ。
ごめんね……。」


ほんとバカ
お人よし・・・・。
でも偽善者じゃないよ・・・・。

ほんとに思ってるの。
龍の幸せだけを 祈ってるから。
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