一途愛
足の痛みがよくなってきた時
次におそって来たのは 羞恥心……。

力尽きて 宗方のワイシャツに顔を埋めていた。

「あ!!!ごめんなさい!!!」

慌てて体を離して 頭を何度も下げる。
きっとこんなに接近して 宗方は不快な思いしてるんだろう


「か…帰ります…。」

カバンを持ちあげて まだジンジンしてる
別物の足で歩きだした。

本当に恥ずかしいとこばっかり
見られてしまった。


「お…おじゃましました……。」

エレベーターのとこでまごついていると
宗方がやってきて
いきなり私に モコモコの黒いマフラーを巻いた。

「え?」

いい香りのするマフラーに一瞬心がフラ~~~ァとした。

「送ってくって。」

ジャンバーをはおった宗方はそう言って
エレベーターに乗り込んで
唖然としてる私の腕を引っ張った。



 ドキン ドキン ドキン

狭いエレベーターの中で 私の心臓の音
宗方に聞こえるんじゃないだろうか


緊張感で…息苦しい……。
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