一途愛
「ルナが死んじゃった時 大変だったのよ。
落ち込むどころか 自殺でもするんじゃないかって
みんなが龍を見はってたのよ。
猫ごときで・・・なのかもしれないけど
龍にはルナが宝物だったから。
こっちに来た時 マンションに連れて行きたいとごねたんだけど
広いところを好きなように歩いてるルナが
狭いところにとじこめられるの
可哀そうだろうっていうことで…時間あればルナの顔見て
帰って行ったんだよね。
具合悪い時は 泊まり込みで 看病してた。
ルナを拾ってきて 龍は本当に変わったの。
その後には姫ちゃんがいるって知って 本当に感謝してるの。」

「私もです。ルナとルナタが私たちを
出会わせてくれたんです。ルナタが死んだ時
私も大切なものを一度に二つ失くしたようで しばらく
仕事にも行けませんでした。
あんなに落ち込んだことは今までいじめられたりしてたけど
一度もなかった……あれから体調までおかしくなって。」

「大丈夫なの?病院にいるんだからちゃんと行きなさい。」

もともと不順だった生理があの一件からこなくなっていた。

「もう少し様子見て行こうかなって思ってます。」

「龍もおかしいの。
心配してるの。でも姫ちゃんがいるからって安心してた。」

「そうですか。
もう私は 龍に 何もしてあげられないから…。」

「そんなこと言わないでよ。
あなたたちが別れるのは間違いだから
二人を繋いでいたルナたちが死んで教えてくれたのよ。」

伊織さんの言葉が
胸に突き刺さった。

「間違ってるって教えてくれてるのに・・・・
どうして立ち向かわないの・・・・。
バカよあんたたち 優しすぎるのよ。
全部捨てて二人で逃げたらいいいのに……
こんなに求め合ってるんだから……。」

伊織さんが泣きだしてしまった。

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