一途愛
「無理です……。乗ったことないから……
それにバイクなんて…不良の乗るものだし……。」

ヘルメットをかぶせられて私は必死に抵抗した。

早い乗り物が苦手
家族で行った遊園地でジェットコースターに乗って
死にそうな恐怖感を味わってからは
本当にダメ……。

「黙ってつかまってろって。
俺は今年最後のバイクなんだから もう雪になるから…。
ぶっ飛ばすぞ~~~。」


  ひえぇ~~~

無我夢中ってこのことだった。
私はなりふり構わず 宗方の細い腰に手をまわして
しがみついた。

ぶっ飛ばすと言ったわりに
そんなに恐ろしくなかったのはもしかしたら
宗方が安全運転してくれているからなのかな…。

それとも宗方にしがみついている安心感か……。

信号で停まるたびに

「大丈夫か?」と聞いてくれる。

最初は
「はい。」って答えてたけど

「すっごく気持ちいい~~。」に変わった。

風と一体感

こんな乗り物にのるなんて 私の一生かけても
ありえなかったストーリーだった。

それがルナタとルナと宗方に会って
少し横道にそれ出したのかもしれない。


今 この瞬間は他人のぬくもりを感じていいんだ。


バイクが動き出して私はまた宗方に
しがみつく……いつしかそうすることによって
幸せな気分になっている自分がいることに気がついていた。
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