一途愛
「すまなかった。」パパが頭を下げた。

「え?」

パパの横でママも暗い顔をしている。

「何?今 私の話してるんだけど。」

「おまえたちが別れるきっかけになったのは俺のせいなんだ。
いつかちゃんと言わないといけないと
思ってたんだ。昨日龍くんに会って
龍くんにも 謝って来たんだ。」

「龍に会ったの?」

「パパの契約がうまくいった時 正直さおかしいって思った。
いくら龍くんの父親だと言っても
うちの会社のことも知らずによく簡単に契約が
うまくいったなって。俺も崖っぷちだったから
必死だった。リストラ候補にあがってさ……
何か一つでも大口契約をとれれば…会社に残ることができる。
龍くんの父親に泣きついたんだ。」

パパはそう言うと私の前のイスに座り込んだ。

「この時代 この年でリストラになったら
家のローンや子供の教育費やら大変でしょうね
何ていいながら親身に聞いてくれて…
そんな気持ちで助けてくれたとばかり
思ってたんだけど……
だけどずっと後で知ったのはその契約をするから
龍くんに姫と別れるように約束したってことだった。」


「え?」

「龍くんが言う事を聞いてくれたら
パパをたすけてやってもいいって…交換条件だったんだって。」


ママの言葉でやっと頭の中を整理した。

「龍が急にアメリカに行ったのって……
それが原因だったの?」

龍が突然私の前から姿を消さなければいけなくなったのは
やっぱり…そんな気がしてた。



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