一途愛
あえて龍のことは質問しなかった。

「勉強してね 大学ちょっと遅れたけど
行きたいなって思って 龍も楽しい世界がたくさんあるって
背中を押してくれたの。今は車の免許をとって…
自分のやりたいことたくさんあって…。」

龍という名前が出る度
胸がキュンとした。

「大関さんは?」

「私は仕事をおぼえることで必死よ。
早く一人前の看護師になりたいの。人から必要とされる人材にね。
今まで 必要とされたことなんてなかったし…
ほんと暗い人生だったから…自分がまた変われる
チャンスなのかなって思ってる。」


「その気持ちわかる~~。
私も変われそうな気がするの。」

「まだまだ若いんだし 頑張ってよ。」

「若いって年はそんなに変わらないでしょ?」
葉月が吹き出した。

「よく笑うようになったね。
ほんとにめっちゃ可愛い。あなたは笑顔が似合う子だったのね。
よかった元気になって。私も葉月ちゃんの笑顔で
元気もらった気がするわ。」

「よく言われる~~~。
なんか龍と大関さんって同じこと言うのね。
そっくり~~。」

嫌味のない言葉にこっちの方が慌てる。

「そんな・・・・。」

「今日は受診なの。また来たら会おうね。」


葉月はスキップしながら去って行った。


幸せなんだね・・・・。
龍がいるから・・・・・。
うらやましくて 泣きそうになった。

ダメダメ・・・・
強くなるんだよ 姫・・・・・。
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