一途愛
温かい涙
お腹が大きくなるのが不思議だった。

初めての胎動に感動して
今では元気に蹴ってくるお腹の子供が
ようやく生きてるって実感できた。


限界まで仕事をしてそろそろ
マタニティ用のユニフォームに変わる前に
赤ちゃんを産むまで産休に入ることになった。

回りにはわからないように
師長と主任がうまくやってくれて
向こうの病院に異動するということで現場に話をしてくれた。

「頑張ってね。」同僚の声に明るく

「はい あと一週間 頑張ります~~。」と答えた。

夜勤が始まった時だった。
救急車がやってきて病棟にオペの終った患者が搬送されてきた。

スーツ姿が何人か来ていた。

「社長 大丈夫か。」

「オペは成功したようだけどな。
なんで…成功しちゃったんかな~~。」

病院でとんでもないこと言ってる。

「息子は?」

「アメリカ出張だって。父親に似ず 優秀だからな。
会長の優秀な遺伝全部 息子に行っちゃったんだな。
可哀そうにな。」


くっちゃべってるスーツ連中で睨みつけた。

「そういう話は外でしてくれますか?」


「あ すみません。」

私は運ばれてくる患者が来る準備に追われていた。





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