一途愛
「リハビリしっかりやってくださいね。
大変かもしれないですけど みなさんそうやって
麻痺が残らない人もいるんです。
責任あるお仕事もしてるのですから これから
行きましょう。」

「どうせ誰も俺に期待なんかしてないさ。
ダメ社長とかボンクラとか…好きなこと言いやがって。」

「そちらの事情はわかりませんけど…。
リハビリは宗方さんのためのものですよ。」

「いい もうどうなったって。」

布団にもぐりこんでしまった。

しばらくして 伊織さんとおばあちゃんがやってきた。

「あら 姫ちゃん。」

「この間はご心配かけて……。
それよりもどうぞ。」

龍の父親は布団をかぶったままだった。

「やだよ・・・おかしなとこ似てるんだから。」
おばあちゃんが心配そうに言うと

「うるさい どうせ名将な親父にいいとこ似ないでとか
言いたいんだろ?まさか俺は脳がつまるとは思わなかった。」

「そんなにしゃべられるなら大丈夫ね。
心配して損したわね。」伊織さん

「心配なんかしてないくせによく言うな。」

どこまでもへそ曲がり何だなって思った。

「東京には知らせておいたけど…
後妻さんも入院してるんだって?
悪いことばっかしてるから 罰があたったのね。」

龍の父親は布団をはいで
伊織さんを睨みつけた。

「いいざまよ。ほんと。」

思わず私は伊織さんを制してた。

「やめて下さい伊織さん。
おとうさまが一番傷ついてるんですから。
体と心が弱った時に そんなこと言っちゃダメですよ。」

思わずそう怒鳴っていた。
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