一途愛
美里と姫に共通点はなかった。

「いい?」

「悪いけど俺一人で飲みたいんだ。」

「たまに会ったんだしいいじゃん。」

美里は隣に座って飲みだした。

「ヤケ酒?」

「別に。」

「姫とはどうなったの?途中でいなくなったしあんた。」

「別に・・・・。」

美里が笑いだした。

「相変わらずね。姫がそんなにいいなら 何で別れたの?」

「どうしようもないってことあんだよって…
別れたって何?」

「いや そうなのかなって・・・。」

さすがに俺もかっこつけるのも限界だった。

「別れた・・・・簡単に言うなよ。
俺は自分の体が体じゃなくなったような…
大切なものを失ったんだ。
あいつにもう待つなって言ったのに 待ってないと思うと…
情けない女々しい信じられないくらいバカな男になり下がってる。」

残っていた酒を一気にのみほした。

「帰るわ。」というと

「そんなに大切なんだったら…
全てを捨てても 姫を取り戻せばいいじゃない?
世間とかいろんな事情があっても
人間として機能しなくなる人生を送るくらいなら
自分らしく生きれる人生の方がいいでしょ?
答えは出てる。
姫を・・・姫とあんたは一緒にいないとダメなんだよ。」

俺は美里の言葉に
涙が出てきた。

「やだ 宗方?泣いてんの?」

「情けねーだろ?姫を失ってまたあの頃みたいに
生きていくしかないんだ。
もう…遅いんだ……。」

テーブルに突っ伏すと冷たくて気持ちがよかった。
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