一途愛
「姫は?」

「今 処置中です。
後で先生からお話がありますから
お部屋の方でお待ちください。
赤ちゃんはもう少ししたら 新生児室にうつしますので
それまで待ってて下さいね。」


「よろしくお願いします。」

看護師の手に抱かれて 赤ん坊は
静かになった。


「俺の抱き方が悪かったのかな。」

「元気だよって教えてくれたんだよ。」

姫の父親

きっとここに姫がいたら同じこと言ったんだろうなって思った。


「どうだった~~!?」

部屋に戻るとみんなが駆けよって来た。

「無事 産まれました。男の子です。
元気に泣いてました。姫はまだ処置中だって…
もう少ししたら子供は新生児室に移すと言ってたから
会ってやってください。」


頭を深く下げた。


さっきまでの重苦しさが嘘のように 明るい笑い声に包まれた。

また電話が鳴った。

「自分が出ます。」と言って電話に出た。


義兄だった。

「龍 姫ちゃんまた…発作起こして…
すぐにご両親と戻って来て。とても危険な状態だ!!」

天国から地獄へとはこのことだった。


< 409 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop