一途愛
「オギャーオギャー」


まるで目を覚ませと言うように
赤ん坊が 狂ったように泣いている。


「姫・・・・姫・・・・
どうしたの?
ほら 赤ちゃん元気だよ。
龍くんも来てくれてこれから三人で暮らすんだよ。」


「姫・・・姫  姫!!!」

母親の悲痛な叫び声。


俺はただ茫然とするだけだった。


「頑張ったんだよ姫ちゃん。
赤ちゃん産むまでしっかり頑張ってた。
後は・・・目が覚めてくれるのを…願おう。」

義兄は立ちすくむ俺の背中を支えてくれた。


「強い子ですから・・・大丈夫です。
今まで疲れたから 少しゆっくり寝たいのかも
しれないですね。」



姫の父親がそう言うと
母親も落ち着きを戻した。


「そうよね。起きたらきっとこの子
驚くわよ。会いたくてたまらない人達に会えるのよね。
赤ちゃんと龍くん…。
会わないまま終わるなんて絶対に考えられないわ。」

「そうだよママ。
姫は強い子だだよ。」


素敵な両親だと思った。
子供を信頼し 両親互いに助け合っている。


姫 俺らもこういう夫婦になろうな。


管だらけの姫
俺の目は涙で視界も悪くなっていた。
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