一途愛
夢でもいいから


あの日の夢のように 姫に会わせてください。


だけど夢は見れなかった。



俺に何ができるんだろう・・・・。

そう今できることは
命がけで 姫が守り抜いたこの命を


俺が守って行く・・・・。



姫の入院荷物の整理をしていたら
メモ帳が出てきて

その中にたくさんの名前が書かれていた。
最後まで男女の性別を聞かなかった姫は

男と女 二人分の名前


その中から俺は 貫という漢字に目を止めた。


貫く

つらぬく


俺と姫みたいな言葉


愛を貫く・・・・・。


宗方 貫  むなかた かん


「貫……。いい名前だな。」

本当なら母親の母乳ですくすく育つはずだった貫。
姫もどんなにそれを
楽しみにしていただろう。

「ミルクでも美味いよな。」

哺乳瓶に吸いついて 貫は力強く飲みほした。

「男はちっこいことにつまずいたら
ダメだからな~~貫。」

まだ足りないと唇をちゅっぱちゅっぱと
動かしてる貫が 頼もしく思えた。

「俺も頑張るぞ。」


二人だけの退院・・・・。
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