繋いだ手
「………ご…めん。」



うつむいたまま、黙り込んで


ふるえる唇から、
ようやく善のかすれた声がこぼれた。


とても痛そうで


善の瞳からこぼれる、大粒の泪は、


あたしをとってもとっても苦しくさせた。


何も言えなかった。


善が悲しいのは嫌だよ。


善よりあたしは、

善を知ってるよ。


だから、泣けなかったんだ。


真っすぐ向き合って、善を導いてあげなくちゃ。

苦しくなっちゃうよね、
善が。


だから、あたしは、必死で優しいあたしを探して、

あたしは、善を優先させることに努めた。



突然やってきた、大きすぎる悲しみに、あたしは、
パンクしそうだったけれど、


やっとの事で、こう言った。

「善はどうしたい?」


あたしは、いつだって、善の最大の見方でいた。


だから、今もそれを一番にわかってあげたかった。


善、
一人で抱えてたんでしょ?


一人で悩んで、あたしの顔見るたび、つらかったんでしょ?


あたしは善に襲い掛かる全てのモノから

善を守りたい。


始めにそう言った時から、今まで、ずっとそうしてきたよ。



ソレは、今も変わらずだよ。


それがあたしの愛し方だから


胸張って言えることなんて何もないけれど、それだけは、自信持って貫ぬいてきた事だから…。



最後の最後とわかっていても、


最後まで、善の一番の見方でいたい。


それでいい。


自分の痛みは計れるから


だから、それでいい


その泪はあたしを痛くさせたことへの泪でしょ?


善、もういいんだよ。
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