繋いだ手
あたしは、耳を傾ける。


最近、良く話していた、

例の話しの続きだろう。



善は、自分が持っている、この白い紙の上に、



何を書きたいのか、


どんな色を乗せたらよいのか、



わからなくなっていた。



「何ていったらいいんだろ
…自分のことなのに、

俺は、どうしたいんだろ。

分かんない。」



しばらく沈黙の後に、

出てきた言葉は、

それだけだった。



善は、

自分の中にある、


自分の音を、


聞き取れないでいるんだろう。



伝えたい事が、

たくさんありすぎて、


まとまった文章には、なっていないけれど、


前から、度々漏らしていた
善の、


ため息の言葉たちを繋ぎ合わせ、


あたしなりに解釈した。



「う〜ん、そっかぁ。

今の善が、


置かれている場所のことだねぇ。


あたし的に、

勝手にわかったつもりで話すけど、


2人が一緒にいる事に意味があるのか?

とか、


何度も同じ場面で繰り返される喧嘩に、

窮屈って感じたり、


そうは思いながらも、


相手の気持ちを考えると、

簡単にソレは壊せないし、


自分も、
そこに長くいたから、


その安全地帯から、


新しいドアをあけることにビビっている?


本当にここにいたくているのか?


何度も問い掛けてみて、


こうかな?って、


答え見つけると、


あ〜、やっぱりでも…

って、そんな状況でしょ?」


< 15 / 71 >

この作品をシェア

pagetop