繋いだ手
注文した味噌ラーメンは
思ったより早く姿を現わした。



善は、前に置かれたそれに一瞬目を向けた後、


何か言いた気に、こっちをみたけれど、



(いいから!)という視線を送った、あたしの動きに気付くと、



黙って箸を割り、2本の棒の間に、それを絡ませ、一気にススった。



結局、丼の底を見る前に、席を立った二人だったけど、


お勘定をして、ドアを出る頃には、



また、ご機嫌なあたしと善だった


今日一番の目的は達成出来ないままだったけど。



ちょっとの節約と、ゆっくりした時間を求めて、帰りは、



時速3桁を必要としない、左右に田園風景が広がる、田舎道を選んで戻ることにした。


定休日、いつかリベンジ!!


カツ丼やカレーがあって、缶詰の味噌を使ってんのがバレバレで、本場ラーメンを語られても、ねぇよなぁ。



行く道を、尋ねにいくのは、あたしばっかだったよ



などと、文句を言いつつ、


和みながら…



車は、走り続け、



隣街が見える辺りまで、戻って来ていた。
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