繋いだ手
助手席の箱が、

空っぽになってしまい


口のまわりのケチャップを拭きたくて、


トランクの中の

ボックスティッシュを探していた時、


たまたま出てきたゴムボールが、

遊ぼうよって、

あたしたちを誘った。


街の北東にある公園へ行こう!

とあたしが提案した。



そこは、敷地内の真ん中が小高い山になっていて、


そこだけライトアップされている。


港の真ん中にある

この公園から見渡す一面は


海。



高台になっているこの場所からは、


周りの景色が一望出来るようになっている。


夜、夜中でも人が戯れ、

薄気味悪い湿気ある

真夜中の公園の

イメージとは程遠い。


善はいつだってあたしの提案に、

そして、あたしは


善のソレに、


「いいねぇっ!」

だった。

どこへ行っても、ハズレも当たりに変えれる


¨楽しい¨が、そこにはあるのがわかるから!


「善?さっきのデンワよいの?」


「あっ、アレ?うん、

がっこの友達。


理央さんといる!っていったら、

最近俺の口から、

その名前ばっかだから、


お前、年上好きだもんな!


とか、


どんな関係?!

って、マぢしつこい。



何もないから、何もない!って言っても

怪しい?!とかって…


俺たちがどうにかなってないと、ダメらしいよ。」


善は私立の男子校。

そして、あたしは、

きっと、そこに負けず劣らずの

男前揃いの女子校出。


「ははっ、そりゃ、そうだよ。

人のそういうのって


オモシロいもんさぁっ!」


そう、答えながら、

あたしは、

昨日のみみコとの会話を


思い出していた。

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