繋いだ手
話ながら、高台とは反対方面の

斜めった芝生の方に、自然と足が向いていた。


バレーボール大会を開催する前提に。

「そういえば、善、少し気持ち変わってきた?」 


「ぁ〜、聞いて理央さん。もう、揺らがないかも。」


「マヂで?」


善の彼女は、ちょっとの喧嘩の度に、(別れる)が始まるらしい。


既に2年間の付き合いの中で別れた回数が、12回。2ヵ月に一度のペースで別れている計算。

その中で、3ヵ月とか、ざらに音信不通の期間があったりするらしい。


そして、ご機嫌をとったり
タイミングを見計らって、仲直りのごめんねを言いだすのは、

きまって善の役目らしい。


善は男友達に接するのとは真逆に、

彼女にはそこまでするの?というくらい、

とにかく、優しくて一筋。


こんなに想ってくれてるのに

更にわがままを言う彼女に

最近は、あたしも、善に

改善の余地があるようには思えないし、

助言の言葉も探せなくなっていた。  


「俺、もぅ、そこに固執したり、相手の気持ち組んでとかしてると、

いろんなコトちゃんと判断出来なくなるから、

今は、自分が、充実する時間だけを刻みたいと思うんだ。」


いつもの善とは違っていた。
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