繋いだ手
嬉しい事には、子供のようにはしゃぐし、


哀しみや、痛みに慣れることなんてなくって


傷ついて、泣いて…



いつまでたっても、大人な自分なんてやってこないよ。」



善は、そうなの?

って意外そうな顔をしたけれど、

続けるあたしに耳を傾けていた。


「長く生きてる分、

経験があるから、
ちょっとは、

知識が増えるけど、

実際、大人って言われる歳になってみたら、


人前で泣くのは、カッコ悪いから見せてないだけだし、


今までの失敗から、


転び方を学んでるから、痛くないようにって、選んだり…。

大人なんて、この世にいないのかもよ。


中身は変わらないのに、演技なんじゃないかなっ。



あっ、でもあたしだけかな?みんなは違うかな…」



なんだか、あたし、喋り続けている。



思ったこと、言葉にするたび、


善は、真っ直ぐあたしをみて、

一個一個に、凄い反応してくれる。


何も考えず、勢いのまま




あたしは、あたしの事を話していた。
< 64 / 71 >

この作品をシェア

pagetop