繋いだ手
別れた、次の朝


毎朝起きると、お布団をめくって


パパを起こしに行く、長女ハナ。

いつものように
お布団をめくったら、

いるはずのパパがいないことに、


「パパ、
どうしていないの?」

とわんわん泣きじゃくった。

それに対して


「今日は、もうお仕事行っちゃった」


と嘘をついたあたしも、

同じくらい、いっぱいいっぱい泣きたくって、

とってもとっても
痛かったこと。



もう帰ってこないんだよ。と言い出せないで


次の日も、
次の日も、

「今日もお仕事行っちゃったね、パパ」

ってごまかす、
あたしに


「ママ、パパ帰ってきてないでしょぉ。」



って何もわからない中で

無邪気に笑うハナを、



ただ、

抱き締めながら
涙が止まらなかったこと。


お買い物に行けば、日曜日は、


どの家族もパパが一緒にいる。


あたしだけが、
あたし達だけが、
孤独に見えてるんじゃないか?


誰も気に留めないのに、


あたし達だけが、

守ってくれる柱がありません。って…


みんなに、そう、聞こえてしまっているんじゃないか?って…


息が詰まりそうだった事。

今も、週に一度は、
娘たちが

パパとの時間を過ごしていること。


ビジネスパートナーとして


仕事はお互いに続けると決めて、今に至ること。



ハナヒナが、大きくなって、

パパママを選べるようになるまで、


例え、あたしの人生がリセット出来ないままになったとしても、



パパとの時間も、作っていくと決めた事。



それが、その時の最善だったことを

一気に善に話した。



「俺なんかの……

そんな事、悩みのうちにも入らないよ。」


小さな声で
聞いたことのないトーンで善が言う。



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