繋いだ手
そうなんだよ。


善が、あたしに聞かせたいと言って持ってきてくれた

あの、唄は、今のあたしそのものだった。



人から好かれたくて
人気者でありたくて

ハイテンションの中に
弱音を隠し

楽しい事にすがりつく。


Massのよっくんは

そう歌っていた。



あたしを楽しいを探す天才と言った、善。


あたしを大人だと思っていた善。



あたしは、この瞬間、

善があたしに抱いていたモノを


壊してしまったかもしれない。



でも、その時が来たら、


あたしは、話そうと思っていた。

だから、それでよかった。


あたしに、恥もプライドも邪魔する事なく、


真っ直ぐ話しをする善に、

あたしは、羨ましくなったし、


気付いたらいっぱい勇気を貰っていた。



「うん、あの曲聞いた時、

善に見透かされてんのか?

ってくらい、ハッとしながらも、


これでいいの?このまま進むの?って、問い掛けもされた。


あたし、勝手に話して、

勝手にスッキリで、


勝手に充実。」



善は、あたしより大人の人みたいに、


穏やかな笑顔で頷いていた。
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