現代都市伝説物語~恋愛魔曲~
「これを、持っていくといい」


男は優梨に、オルゴールを差し出した。


「これは?」


「恋愛魔曲のオルゴールだ」


「恋愛魔曲?」


「好きな異性と二人きりで聴くと、必ず恋が叶う。それが、恋愛魔曲だ」


「胡散臭い話だね」


流依が訝しげな目で、男の方を見た。


「だったら、試してみればいい」


「ま、それは最もな話だけど…」


釈然としない様子で、流依は男から視線を離さない。


そんな流依を無視して、男は優梨の方へ目をやった。


「で、お嬢ちゃんは、どうする?」


「え?」


「試すのか?試さないのか?」


「た…、試してみたいです」


「じゃあ、持って行きな。まだ疑ってる奴がいるから、料金は無料にしてやる」


流依を一瞥して言うと、男は再びオルゴールを差し出した。


「あ、ありがとうございます」


オルゴールを受け取りながら、優梨は男に頭を下げた。
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