現代都市伝説物語~恋愛魔曲~
白い洋館の前まで来て、幹彦が玄関のドアに手をかけた時、純輝が口を開いた。


「なぁ…」


「ん?」


「純輝君?」


「どうしたんだい?」


全員の視線が、純輝の方へ集まる。


「本当に…、い、行くのか…?」


「当たり前だろ」


「ここで帰ったら、来た意味がないよ」


幹彦と流依に言われて、純輝は肩を落として俯いた。


「だ、だよなぁ…」


「純輝君、やっぱり怖いんだぁ?」


「こ、怖くなんか…」


純輝が言い掛けた時、理緒が手を掴んできた。


「り、理緒…?」


「手を繋いでたら、少しは怖くないでしょ?」


驚いた様な顔で見てくる純輝に対して、理緒が優しく笑った。


今の純輝には、そんな理緒が天使にも、女神にも見えた。
< 45 / 201 >

この作品をシェア

pagetop