現代都市伝説物語~恋愛魔曲~
「ここだよ」


ドアの前まで来ると、流依が足を止め、全員を見回して言った。


「こ、この先に…、ゆ、ゆ、ゆ…」


「幽霊?」


声が震えて、最後まで言葉を発せない純輝の顔を、理緒が上目遣いに覗き込んだ。


「あ、ああ。ゆ、ゆ、ゆ…」


「純輝君、怖がり過ぎぃ!」


「そ、そんな事ないって!」


「二人とも、行くよ?」


言い争いを始めた理緒達を、呆れた様に見ながら流依が言った。


「あ、ああ。い…、行こうぜ」


純輝が震えながら言うと、隣にいる理緒も無言で頷いた。


――バタンッ。


「ひっ!」


ドアの開く音に驚き、再び純輝は首を竦めた。


そんな純輝の方を見て、もう理緒達は何も言わないが、全員が呆れた様な顔をしていた。
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