現代都市伝説物語~恋愛魔曲~
流依と幹彦が、悟志の方まで歩いてくる。


――バタンッ。


悟志は玄関のドアを開けると、すぐに洋館の中に入っていった。


流依と幹彦も、それに続く。


3日前や昨日と同様、中は薄暗かった。


「京極」


「何だ?」


流依の声に、前を歩いていた悟志が振り返った。


「ここには、幽霊はいるのかい?」


「いないな」


「占い師の部屋にだけ、幽霊がいるのか?」


「恐らく、違うだろう」


「どういう事だい?」


「俺達人間も、こんな入口に、普段から居ないだろ?」


「ああ、そうだね」


「そうだな」


悟志の言葉に、流依と幹彦が頷く。


「幽霊達も同じだ」


「この屋敷の部屋、全てに幽霊がいる可能性があるって事か?」


「そういう事だ」


洋館の中を見回しながら訊ねた幹彦に、悟志が静かに頷いた。
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