かけがえのない宝物
その抗争は俺達が勝ったんだ。
だけどね…悠太が意識なくなるくらいやられちゃってね。
心配だった。
悠太とは小学生の頃から仲良かったし。
悠太が入院したから仕方なく家に帰ったんだ。
一ヶ月ぶり位かな。
『ただいま…』
なんか入りづらかった。
『あっ聖也。
おかえりなさい。』
母親の驚いた顔がみるみる笑顔に変わる。
母さん…少し痩せたな…
母親と一緒にリビングに行くと三嶋隆二もいた。
『聖也!お前はお母さんを心配させてどこほっつき歩いてんだ。』
いきなり殴られた。
『何すん…あっ…』
三嶋隆二は泣いていた。
『心配させるな馬鹿やろう』
殴られた顔も痛かったが心も痛かった。
でも心を擽られた感じもしたんだ。
初めて三嶋隆二と本気で向き合った日だった。