かけがえのない宝物

『いや、そんな事ないよ。』
食い付いてきた所をすぐに釣らないのが俺の主義。
敢えて冷たく言い放った。
『そうなんだ〜。』
女は少し凹んだ表情をする。
それでもまだ優しくしない。まだね。

カラオケも終わりゲームセンターに行く事になった。いや、正確には予め悠太にそうするように仕組んであったのだが。

俺は一人プラッと歩きだした。
しかし冷たくしてるから誰も着いてこない。
UFOキャッチャーでプーさんの縫いぐるみをとる。

『はい。これやるよ。』
先程食い付いてきた女に渡す。
『えっ…？』
女は驚く。
冷たくされた男に縫いぐるみを渡されたら誰だって驚くだろ？
これが俺のやり方。

『上手くしゃべれねーからさ。だから…やるよ。』
ここは照れながら言う。
我ながら完璧だ。