サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
有喜には

二人の優しさが

身に染みていた。

しかし、

アルツハイマーは

そう簡単に

有喜を

病魔の手から

離そうとはしなかった。

有喜は

毎日、毎日

二人の愛を

沢山もらっている

葵が

羨ましかった。

あの子さえいなければ…。

有喜は

葵に対して

嫉妬し

被害妄想を受けていた。

「何でいつも

 葵なの~?

 葵葵葵葵葵葵…

 って…

 聞き飽きたぁー。」

有喜は突然

大声を立てた。

純一も母も

ビックリした。

有喜の

突然の怒りに

どう接していいのか

分からなかった。

純一は

恐る恐る口を開く。

「有喜…?

 どうしたんだ?

 急に…。

 葵は俺達の子供だぞ?

 可愛いの当たり前だろ?

 それに

 葵はまだ

 赤ちゃんだ

 手がかかるのが

 当たり前なんだよ。」

純一は

有喜を優しく

説得するが、

有喜の頭では

あまり理解できない。

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