サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
「何これ?

 こんなもので

 誤魔化したって、

 私は

 許さないんだから!!」

有喜は

日記に見向きもしなかった。

純一は

やっぱり…

といった表情で

肩を落とした。

今の有喜には

少し理解しがたい

内容だろう。

嫉妬心に駆られた有喜には

沢山の愛情で

包んであげるしか

方法は無いと感じた。

純一は

この日から

有喜の前では

葵をあやす姿を

見せないようにし、

家の中で

二重生活のような

心理だった。

純一は

身も心も

いつしか

疲れ果てていた…。

有喜の被害妄想も

徐々に

落ち着いてきた頃、

有喜は

今まで以上に

明るく、

よく喋る様になって来た。
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