サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
「もう、

 一方的なんだから…。」

とブツブツ呟くも、

父の様子が気になっている。

お父さん

どうしたんだろう…。

そう言えば単身赴任しだしてから、

殆ど連絡取ってなかったな。

病気じゃなかったらいいんだけど…。

まぁ考えててもしょうがないわね!

お母さんからの連絡を待っとこう!

有喜はそう自分に言い聞かし、

仕事に戻る。


有喜の母は

急いで茨城に向かう準備をしていた。

「そんなに荷物はいらないわよね。

 下着とお金と…

 お父さんの好きな漬け物、

 これくらいあればいいかしら?

 漬け物

 いい色になってるわねー。

 この前漬けといて良かったわ。」

そう言って母は荷造りをし、

茨城へと向かう準備をしていた。

「ところで、

 茨城ってどうやっていくのかしら…?」

日本地図を取り出し、

少し考えている。
 
「結構遠いいのねー。

 このくらいの距離なら飛行機?

 …。

 でも飛行機は空飛ぶから怖いもんね。

 人間は地に足をつけてなきゃ!

 私は生まれ変わっても

 鳥には成れないわね。」

相変わらず独り言の多い母親は

家を出るまで一人でしゃべり続けていた。
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