サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
中では医師が待っていた。
 
「御手洗さん、

 始めまして。

 今のご主人さんの病状を

 説明します。

 検査の結果、

 彼は

 アルツハイマー病

 だと思います。

 アルツハイマーを

 簡単に説明しますと、

 痴呆の

 一種です。

 脳の

 萎縮が起こるために、

 痴呆症状が出現してくるんです。

 原因は

 まだ解明されていないんですが、

 遺伝性とも言われています。

 血縁者の中に

 アルツハイマー病と言われた方は

 いらっしゃらなかったですか?

 御手洗さんの性格は

 几帳面で

 真面目だったんですかねぇ?

 いろんな負担が

 重荷になってたんですかねぇ?」

母は、

医師の病状説明に数秒唖然とし、

病気を受け入れきれない様子でいる。
 
「アルツハイマー?

 痴呆?

 主人はまだ

 55歳ですよ!

 そんな、痴呆だなんて…。

 何かの間違いですよ。

 今はほら、

 疲れてて、

 何が何だかわかんなくて

 あんなボーっとしてるだけなんです!

 もう一度

 検査し直してください。

 お願いします…。」

母はそう言い泣き崩れた。

付き添っていた看護師が

そっと肩を撫でる。
 
「御手洗さん、

 大丈夫ですよ。

 私達看護師も前面サポートしていきます。

 今は現実を

 受け入れきれないかもしれないけど、

 それは御手洗さん本人も

 一緒なんです。

 解らない事や不安な事があったら

 何でも聞いてください

 私達も相談に乗りますよ。」

母は、看護師の慰めに

少し落ち着いた様子で、

コクリと頷き涙を拭っている。
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