サンドグラス ~アルツハイマー闘病記~
有喜はクスクスと笑い

「いいよ。

 書こう!

 なんか懐かしい感じがするね。
 
 でも、嬉しい!」

そう言い、

有喜は机の中を探り出し、

一冊のノートを手に取った。
 
「これ!

 これに書こうよ!

 このノートは私が小さいときに

 お父さんにおねだりして

 買ってもらったの。

 凄く嬉しかったから

 なかなか使えなくて

 今まで引き出しにしまってあったの。

 特別なときに使おうと思ったら

 こんな年になっちゃった。」

有喜は自分の想い出に浸りながら

純一に話した。
 
純一は早速ノートを手に取り、

1ページ目を開き、

有喜にそっと手渡した。

有喜は少し不思議そうな顔をした。
 
「初めの一行は

 有喜が書きな。

 今までの事とか、

 今日の事。

 何でもいいよ。

 次からは一緒に書くけど、

 初めは別々。

 有喜が心に残ってる事とか、

 思ってる事をここに書くんだ。

 書き終わったら俺が続きを書くね。

 2人で同じ時間を過ごしていも、

 感じる事は

 2通りあるからね。」

そう言い、純一は

有喜が書き終わるのを待った。

有喜はペンを取り書き始めた。
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