PRINCESS×PRINCE
――だから嫌だったんだ。
フリーズした時。
あたしは自分の冷や汗を感じた。
自分の口の悪さは分かっている。
事態を丸く収めるにはそれじゃダメだったことも。
分かっていたのに…
やってしまった。
「とにかく、この子嫌がってんでしょ!やめてくんない?」
威勢を張ってみたはいいけど、正直帰りたい。
あたしと壁に挟まれている子に足が震えそうなことが気づかれませんように。
「なっ…なんだよ君は!僕とこの子の邪魔しないでよ!」
うわ!
なんだこいつ!
邪魔なのはどう考えてもテメーだろうが!!
「…そうなの?」
引き攣った顔のまま振り向かずに、一応後ろの子へ尋ねてみる。
ほら、もしわざとそういうプレイしてたんなら本当にあたしがお邪魔虫だから。
「…」
ふるふる。
小さく首を振るのが気配で伝わった。
否定。
よかった、あたしの行動は気違いじゃないらしい。
「…という訳で、オジサン諦めてくれる」