PRINCESS×PRINCE
穏便にね。
穏便に。
なるべく事を大きくせず、静かに解決するのが1番。
だから安心の溜息と一緒にして(あたしなりに)優しく言ったんだけど…。
「ヤだね!こんな綺麗な子とは滅多に出会えないんだっ!!――ねぇ、こんな口の悪い男女放っておいてオジサンと行こうよ」
「――あ゛?」
誰が男女だと?
ニタニタ笑いながらあたしの後ろに話しかけるデブ。
奴はあたしの額に青筋が浮かんだのに気づかなかった。
「ボクはツンデレとか俺様属性とか別に好きじゃないから君はいらないんだ。君の後ろの――」
バオッ
キモ男の台詞は最後まで続かなかった。
¨男女¨更には¨いらない¨発言があたしの逆鱗に触れたから。
「――ざけんな」
空気を斬る凄まじい音がした。
あたしの足はキモ男の顔面スレスレに伸びている。
奴の言葉に堪忍袋の緒がキレたあたしはとうとう足を出してしまった。