PRINCESS×PRINCE
今まで栗色の頭しか見えていなかったから気づかなかった。
小柄な身長。
愛らしい顔つき。
くりくりした瞳。
サラサラの髪の毛。
まるで女の子と言われても騙されてしまいそうな中性的な顔立ちだ。
でも履いてるのは…
……………ズボン。
「お、おと、男の子?」
「え?あっうん!悪かったな巻き込んで!でも助かった!!」
「…………」
がっくー!!!
なにこれ。
てことはあたし男の子を助けたの?
普通逆じゃない?
ニコッと笑う彼の笑顔に少し心が和んだが、その倍脱力感に襲われた。
…あのデブ、女のあたしに¨いらない¨って言って男の子をナンパしてたんかい!
「俺は古幡湊!!よろしくな」
「…………九条美鈴」
「美鈴…みーちゃんだな!おっけ!俺のことは好きに呼んでくれ」
(………みーちゃんって)
なんだそれ。
異様に高いテンションに半ば圧倒されてしまう。
差し出された握手を求める手には視線だけ投げ付ける。
こうしてあたし達は奇妙な出会いを遂げたのだった。