蝶が見る夢
客人とブルー
目の前の少女は、十数分きゅっと結んでいた唇をようやく開いた。


「あなたは…匠の、なんなんですか?」


少女の目の前に出した紅茶は、もう湯気を立てるのをやめてしまっている。
お気に入りの、ヘレンドのティーカップ。
こんな幼い女の子にくだらない見栄を張ってしまったことを、少しだけ後悔した。
私より、3、4歳は若い。二十歳をやっと過ぎた頃、というくらいか。
若いのに見なりはきちんとしていて、派手なメイクをしているでも、露出した服を着ているでもない。
ただ、パステルピンクのひらひらミニスカートから覗く細くて白い生脚が、若さの象徴のように思えた。
いいなあ、若いって。
若いだけでこんな勢いがあるんだもん、私だってこんな頃があったのにな。
今はただのおばちゃんだわ。
あ、おばちゃんは言い過ぎか。
そんなことをぼんやり考えていたら、少女がまた口を開いた。
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