蝶が見る夢
私の腕の中で、ただ、じっと身を固くして、匠は俯いていた。
私の言うことなら、匠はまず大体のことは従う。
絶対的な服従…とまではいかないけど(彼氏彼女である以上、私と匠は対等の立場だと思う)、匠は私の生き方を丸っきり是としているから、私の言うことを間違っていると思っていない。
ほんの数年前は、先輩と後輩の仲だったのに。
しかも匠の方が先輩で、更には私にとって匠は手の届かないような眩しい存在だった。
帰宅部の私と、生徒会長の匠…まともに口をきいたことなど、高校時代には1度もない。
いつ、どこでそれが変わってしまったんだろう。
私が匠に再会した時には、もう既に匠は“山際先輩”ではなかった。
『や、山際…たくみ…さん…?』
私の言うことなら、匠はまず大体のことは従う。
絶対的な服従…とまではいかないけど(彼氏彼女である以上、私と匠は対等の立場だと思う)、匠は私の生き方を丸っきり是としているから、私の言うことを間違っていると思っていない。
ほんの数年前は、先輩と後輩の仲だったのに。
しかも匠の方が先輩で、更には私にとって匠は手の届かないような眩しい存在だった。
帰宅部の私と、生徒会長の匠…まともに口をきいたことなど、高校時代には1度もない。
いつ、どこでそれが変わってしまったんだろう。
私が匠に再会した時には、もう既に匠は“山際先輩”ではなかった。
『や、山際…たくみ…さん…?』