胸の音‐大好きな人へ‐
春佳とは同じ高校で知り合い、付き合うようになった。
高校卒業後、
俺は大学生、
春佳はフリーターになった。
彼女は週に数回、アクセサリーショップのバイトに行ってる。
春佳の住む愛知県某市(というか、俺の実家がある土地でもあるんだけど)、最近そこで、引ったくり事件が起きたとニュースで言っていた。
車が歩道に乗り上げ、歩行者がケガをするといった事故が起きたことも。
だから、春佳から1人で出かけるって連絡があると、かなり心配になる。
「夜道は1人で歩くなよ」
「バイトやるなら昼間にしろよな」
そっけない声で彼女にそう言うと春佳は決まって、
「大丈夫だって。私みたいに太い足した女を狙うモノズキいないから~」
と、ケラケラ笑う。
こうやって文章にすると井戸端会議に参加中のオバチャンみたいな春佳だけど、どっからどう見ても10代の女にしか見えない。
本人は自分の容姿にコンプレックス持ってるらしいけど、俺にはそれがかわいくて仕方ないのにね。
付き合って2年経った今でも、春佳は俺の気持ちを疑ってる。