胸の音‐大好きな人へ‐
いつかは信じてほしいな、この気持ち。
と、ささやかな願いを胸に、今日も駅まで自転車を飛ばす。
最初は変な感じだった一人暮らしのアパート生活にも慣れた。
当たり前のように駐輪場に自転車を停め、
当たり前のように駅のホームへ早歩きした。
朝日のまぶしい光が、通勤ラッシュを迎えた駅や人々の波を白く照らす。
目的の電車が到着し、電車に乗りながらケータイを開くと、春佳からの返事がないか確認してみた。
《圭(けい)も気をつけてね。
今日も勉強とかサークル頑張って!
春佳もバイト頑張ってくるね》
自分のこと名前で呼ぶって、可愛すぎ。
親バカならぬ、バカップルの極みだな。
春佳からのメールには、必ずひとつはハートマークがついてる。
笑顔の絵文字とセットで使われてるのが大半で、それを見るなり低血圧な俺のテンションはグンと空まで伸びた。単純。