胸の音‐大好きな人へ‐
いい彼氏でいたい。
“また”フラれて傷つきたくない。
春佳にネックレスを渡した時の俺は、春佳を安心させるためってよりも、春佳から見て“かっこよくて頼れる彼氏”を演じたかったんだと思う。
中学ん時の大失恋以降、たとえ好きな女相手でもベタベタな愛情表現をできなくなった俺が、クサいセリフを加えてネックレスを送った時、
春佳は春の日だまりの中で優しく揺れるナデシコのように、たおやかに微笑んでくれたっけ。
あの笑顔を見て、
遠距離恋愛することになっても、俺達なら大丈夫って思えたんだ――。