愛花~桜~
あれから三日。
クラウドはとうとう三日間ずっと姿を現さなかった。
今日は朝から隣国の姫君を迎え入れる宴で何処もかしこも賑わっていたがイヴは興味なさそうに窓辺に腰掛けていた。
フルーナ姫は王の昔馴染みで良く此方にいらしていたらしくその容姿はまさに女神のようだと言われていたらしい。
その為に妾妃は皆、フルーナに負けないようにと着飾っていた。
イヴもまた侍女に言われて着飾り白い肌を引き立てるコルセット型のドレスは腰に真珠を細い紐で連ならせた飾りがクロスするように飾られておりフワリとゆったりとした広がりをみせるスカートの部分には宝石を砕きちりばめられており、手袋は肘までの長さのものを選んであり髪も纏めアップにすると髪をフワリとウェーブをかけてベールのようなモノを使っており最後にシルバーのティアラで飾られていた。

「こんなに、着飾っても意味なんて無いのに……」

こんな風に着飾っても自分が正妃にはなれないし王は自分を見世物にするために自分の隣に立つ者を私にしたのだろうと思えば気が楽になった。

「イヴ様、お時間にございます」

「分かったわ、フィリア」

フィリアに呼ばれ窓辺から立ち上がりゆっくりと桜ノ宮を出ていった。
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